趣味は散歩です。

趣味は散歩です。徹底した現地確認主義。現地に行って、散歩して、見て聞いて感じたことなど。

「日本海軍400時間の証言〜軍令部・参謀たちが語った敗戦」読了。NHKスペシャル取材班。

単純な反戦にとどめず、現代への問題提起としてる点がすごい。
「総括」がいかに難しいことなのか少しわかった気がする。


その時その状況でその判断をしないでいられたのだろうか。

 

エリートが国家を滅亡させた――。

開戦、特攻、戦犯裁判。「海軍反省会」席上での証言から、日本組織の問題点が浮かび上がる。

軍令部に在籍したかつての参謀を中心として戦後に開かれた「海軍反省会」。その録音が現存することが判明し、NHKスペシャルの企画はスタートした。発掘された元エリート軍人たちの赤裸々な発言が、開戦の真相、特攻作戦に至る道程、東京裁判の裏面史を浮かび上がらせる。やがて、彼らの姿は現代に生きる我々と重なってゆく。同名番組(2009年8月放送。全3回)取材班6名による、渾身のノンフィクション。

【目次】
プロローグ――藤木達弘
第一章 超一級資料との出会い――右田千代
第二章 開戦 海軍あって国家なし――横井秀信
第三章 特攻 やましき沈黙――右田千代
第四章 特攻 それぞれの戦後――吉田好克
第五章 戦犯裁判 第二の戦争――内山 拓
エピローグ――小貫 武


f:id:yomumirutaberu:20240414191849j:image

 

印象に残った2箇所。

 

豊田元大佐
(第九十二回反省会)
「東京裁判を終えた日本弁護団が異口同音に、陸軍は暴力犯、海軍は知能犯、いずれも陸海軍あるを知って国あるを忘れていた。敗戦の責任は五分五分であると。けだし言い得て妙、あり得べき至言ではあるまいかと。東京裁判は日本人の魂を奪い去り、いわゆる敗戦ボケとなったため、占領政策は日本の歴史に断層を生じ、戦後ひたすらモノの面にのみ走った結果、東京裁判の判決は知らず知らずの間に日本の昭和史として定着しつつあるかに見える。今一度日本自らの手によって昭和の正しい歴史を見いだし、断層を埋めたうえ、日本の将来のあるべき姿、進むべき道を自らの手によって発見することが必至と考えられる」

 

第二の戦争

私たちの社会を覆う停滞感が、何が起きても、誰も責任を取らない「無責任」の連鎖の末にあるのだとしたら、その起点は一体どこにあるのか。その一つは、あの戦争に、私たち日本人がしっかりと決着をつけていないことなのではないか。誰も本当の歴史を語らず、敗戦の責任を取るべき人たちが、そうすることのなかった戦後日本の出発点にこそ、現代の閉塞感の起点があるのではないか。反省会の取材を通して、そんな思いを抱くに至った一年半の日々だった。